日に日に深まる秋──。
畑を囲む自然環境にはどんな変化が起きているのだろうか。ランチタイムを中座して、久しぶりに近隣の農道を歩いてみた。3カ月前に畑の北側に流れる小川から眺めた景色(すぐ下)は、秋晴れのこの日、筑波山系の稜線までくっきりと。
こんもりと茂った林の向こうが「食べごと・ふぁーむ」だ。川の両側に広がるのは、ソバの畑。夏を彩った野の花はすでになく、畦や道ばたの草木もすっかり秋バージョンに模様替えされている。
*シオンの親戚、ノコンギク。
*はびこる、セイタカアワダチソウ(背後の小花はミゾソバ)
*地味だけど、アップで見るときれいなミゾソバの花
*野生化したチャノキも今が花盛り(そう、日本茶の原料です)
*近所の田んぼではブラックライス(黒米)が、たわわに……
自然食レストランなどで引っ張りだこの黒米ごはんだが、稲を見たのはこれが初めて。黒米は穂(もみ殻)まで黒いことも初めて知った。
ところで、秋になると夏服から衣替えをする蝶がいるのをご存じだろうか? 畑の周辺を元気いっぱいに飛び交うキタテハのことである。たとえば、初夏の頃に見たキタテハ(夏型)はこんなお洋服を着ていた。
でもって、今回出会ったキタテハ(秋型)がこちら。違いが見てとれるだろうか?
前者と比較すると後者のキタテハは羽の切れ込みが深く、裏面の色あいもぐっと渋めだ。もちろん、同じ個体が羽を着替えるわけではなく、初夏から数回、世代交代を繰り返したのち、秋に羽化した蝶たちだけが秋バージョンの姿になる。彼らはこれから成虫のまま、木のしげみなどに潜んで厳しい冬を越さなければならない。枯れ葉色の羽は冬枯れた景色の中で、ジグソーパズルのピースのようにうまく溶け込み、天敵(鳥など)の目を眩ましてくれるだろう。
さて、虫といえば、この時期いちばん活発なのがバッタ類だ。
*おなじみのオンブバッタ。おんぶされているほうがオスで下がメス。
オンブバッタのオスは究極のストーカーだ。おんぶ行動をとるのは交尾期に限ったことではなく、結婚相手をキープするためにオスはずっとメスの背中に張り付いて離れない。「この女は俺のものだから、誰も近づくなよ」と、行動で示しているわけだ。人間だったら、張り倒してやりたくなるような俺様ぶりである。
*こちらは“おんぶ”トノサマバッタ。相思相愛のカップルです(たぶん)。
初代仮面ライダーのモデルとなったご尊顔を地面に這いつくばって、とくと拝んでみた。なるほど、ショッカーが裸足で逃げ出す、正義の面構えだ。
*柿の果汁を吸うウラギンシジミ
シジミチョウの仲間だが、こいつはシジミというよりアサリ級の大きさ。肉厚の羽は鱗粉が豊富で、和名のとおり羽の裏面が銀色に輝く。オスの羽の表面は、この柿に負けないくらい鮮やかなオレンジの紋を持つ。羽を広げたあでやかな姿をご紹介できなくて、残念!
散歩の途中、背の高い木にヒヨドリが数羽集まって「ヒーヨ、ヒーヨ」とかしましい。彼らがついばんでいたのは、おお、アケビの実ではないか! でも、よく見ると、低いところにある実はすでに食べられており、中身は空っぽだ。
枝先に巻き付いた蔓の先を目で追うと、あるある! 手つかずのアケビの実が、あっちにもこっちにも。が、しかし、棒切れも届かない高さである。
う〜む、狩猟の血が騒いでしまうではないか。
昼休みの時間はとうに過ぎている。「午後の畑仕事に勤しむ皆さんにお土産の一つも持って帰らねば」と、まったく年甲斐もなく、弱点の高所恐怖症も食い意地で克服しつつ、枝から枝へと木登り。結果、両手に抱えきれないアケビをゲット! 採ってきた実の一つにかぶりつくと、ほんのり苦くてほんのり甘い。この滋味渋味こそ、秋の味覚。翌日の筋肉痛はこの時点で必至であった。
* 今月の里子たち
キャベツ畑を飛び交うモンシロチョウの蛹を発見!
見つけたのは畑から少し離れたイラクサの葉の上。無事に越冬するには目立ちすぎる場所だし、直射日光にも寒風にもさらされ放題だ。そこで「うちにおいでよ」と、葉っぱごとお持ち帰りすることにした。
いっぽう、畑仕事が終わり、みんなで収穫物を山分けしていたときのこと。「あっ、イモムシ!」と声が上がった。見ればニンジンの葉っぱにキアゲハの幼虫が……。こういうとき、誰も「きゃー!」などと悲鳴を上げないのが、食べごと仲間の頼もしいところだ。
しょうがないなー。きみもうちへ来るかい?
畑から里子にもらったキアゲハの終齢幼虫は、ゴマ油炒めにする予定だった貴重なニンジンの葉をすべて食べ尽くしたあと、リビングにある観葉植物によじ登り、無事に蛹となったのだった。
というわけで、わが家では今、2つの蛹が静かなる長い眠りに就いている。来年の春、羽化したモンシロチョウとキアゲハが部屋の中をひらひら飛んでくれる日が、今からとても待ち遠しい。
* 今月の里子たち
キャベツ畑を飛び交うモンシロチョウの蛹を発見!
見つけたのは畑から少し離れたイラクサの葉の上。無事に越冬するには目立ちすぎる場所だし、直射日光にも寒風にもさらされ放題だ。そこで「うちにおいでよ」と、葉っぱごとお持ち帰りすることにした。
いっぽう、畑仕事が終わり、みんなで収穫物を山分けしていたときのこと。「あっ、イモムシ!」と声が上がった。見ればニンジンの葉っぱにキアゲハの幼虫が……。こういうとき、誰も「きゃー!」などと悲鳴を上げないのが、食べごと仲間の頼もしいところだ。
しょうがないなー。きみもうちへ来るかい?
畑から里子にもらったキアゲハの終齢幼虫は、ゴマ油炒めにする予定だった貴重なニンジンの葉をすべて食べ尽くしたあと、リビングにある観葉植物によじ登り、無事に蛹となったのだった。
というわけで、わが家では今、2つの蛹が静かなる長い眠りに就いている。来年の春、羽化したモンシロチョウとキアゲハが部屋の中をひらひら飛んでくれる日が、今からとても待ち遠しい。
写真と文 Bun
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